占いお宿II 新たな契りを結ぶ時
「王妃様」
少し離れた入り口付近から、護衛や騎士が声をかけた。
「ヨエル……」
「陛下より、来月には辺境伯領へ行くようにと、命が下りました」
「そ、そんな……」
「期間は無期限です」
ひゅっと息を呑んだ王妃。その顔は真っ白になっている。
「で、ですが、本来あなたは、このまま息子の側近として……」
王妃の言葉を遮るように、首を横に振るヨエル。
「陛下の命令です」
「そんな……ヨエル、あなたはなにも悪くないのに……」
「仕方のないことです。陛下は……あなたを愛しすぎているのです」
ヨエルの言葉に、思わず首を捻ってしまう。愛してる……のかな?その割に、この部屋は陛下が訪れるような場面は一度も見てない。本来、王妃と王女とあらば、もっと豪華な部屋でたくさんの人に囲まれて過ごすだろうに、ここはあまりにも寂しすぎる。
「愛しすぎた故に……信じることができないのでは」
私の胸がドクリと鳴った。
ヨエル発したその言葉は、かつて私も向けられたことがある。愛しすぎた故に、真実が見えなくなってしまう。それが、ここでも起こっているというのだろうか?
「ヨエル、ごめんなさい。私のせいで……ごめんなさい」
「誰のせいでもありません。時が経てば、きっと陛下もわかってくださるはずです」
「ですが……」
「それ以上、言ってはいけませんよ、王妃様。私の代わりに付く護衛は、私の一つ下のヨアキムという男です。腕は確かで気さくなやつなので、王子ともすぐに打ち解けるでしょう」
「……そうですか」
少し離れた入り口付近から、護衛や騎士が声をかけた。
「ヨエル……」
「陛下より、来月には辺境伯領へ行くようにと、命が下りました」
「そ、そんな……」
「期間は無期限です」
ひゅっと息を呑んだ王妃。その顔は真っ白になっている。
「で、ですが、本来あなたは、このまま息子の側近として……」
王妃の言葉を遮るように、首を横に振るヨエル。
「陛下の命令です」
「そんな……ヨエル、あなたはなにも悪くないのに……」
「仕方のないことです。陛下は……あなたを愛しすぎているのです」
ヨエルの言葉に、思わず首を捻ってしまう。愛してる……のかな?その割に、この部屋は陛下が訪れるような場面は一度も見てない。本来、王妃と王女とあらば、もっと豪華な部屋でたくさんの人に囲まれて過ごすだろうに、ここはあまりにも寂しすぎる。
「愛しすぎた故に……信じることができないのでは」
私の胸がドクリと鳴った。
ヨエル発したその言葉は、かつて私も向けられたことがある。愛しすぎた故に、真実が見えなくなってしまう。それが、ここでも起こっているというのだろうか?
「ヨエル、ごめんなさい。私のせいで……ごめんなさい」
「誰のせいでもありません。時が経てば、きっと陛下もわかってくださるはずです」
「ですが……」
「それ以上、言ってはいけませんよ、王妃様。私の代わりに付く護衛は、私の一つ下のヨアキムという男です。腕は確かで気さくなやつなので、王子ともすぐに打ち解けるでしょう」
「……そうですか」