占いお宿II 新たな契りを結ぶ時
カエルの魔法が解ける時
「ライラ、しばらく占いはストップだ」
翌日、ドリーにそう言われてホッとしていた。今の精神状態では、とても正しい判断ができるとは思えない。ドリーにも、心配かけてしまっているに違いない。
「ごめんなさい、ドリー」
「いいってことさ。ここに来て以来、まともな休みもなく働いてたんだ。今日はこの通り、外は大雨だ。宿も食堂も客は来ないだろうから、店は閉めるとするさ。どこへも行けそうにないが、一日ゆっくり過ごせばいい」
「ありがとう」
この辺りには、気晴らしになるようなお店なんてなにもない。気を紛らせるような本も持ってない。いざ時間が空いても、うまく過ごせそうにないことに気が付いたのは、自室に下がってからだった。
マリアーナもアルフレッドもいない。ルーカスは、ジャレット共に忙しそうにしてしているし。
怖くて占いにも向き合えない今の私は、誰の役にも立ててない。あまりにも無力だ。
「はあ……」
2年弱かけて、やっと自分の居場所も存在意義も見つけられたというのに、それが一気に足元から揺らいでくるようだ。
「……アドルフはなんて?」
廊下を歩きながら、ルーカスとジャレットが話しているようで、声が漏れ聞こえてくる。どうやらアルフレッドの元へ飛ばしたアドルフが、帰ってきたようだ。
「……で……が……」
遠ざかる彼らの声は、ほとんど聞き取れなくなっていく。ううん。聞き耳を立てるなんて、失礼なことはしちゃだめだ。
「ココアでもいれてこよう」
気持ちを落ち着かせるには、甘いものが一番。グノーはいるのかしら?と思いながら、食堂へ向かった。
「ジャレット、俺が……」
「いいえ、ルーカス様。この雨では、あなたは動けません。ここに留まって、知らせをお待ちください」
「……くそっ」
食堂へ向かう道すがら、気まずい場面に出くわしてしまった。
翌日、ドリーにそう言われてホッとしていた。今の精神状態では、とても正しい判断ができるとは思えない。ドリーにも、心配かけてしまっているに違いない。
「ごめんなさい、ドリー」
「いいってことさ。ここに来て以来、まともな休みもなく働いてたんだ。今日はこの通り、外は大雨だ。宿も食堂も客は来ないだろうから、店は閉めるとするさ。どこへも行けそうにないが、一日ゆっくり過ごせばいい」
「ありがとう」
この辺りには、気晴らしになるようなお店なんてなにもない。気を紛らせるような本も持ってない。いざ時間が空いても、うまく過ごせそうにないことに気が付いたのは、自室に下がってからだった。
マリアーナもアルフレッドもいない。ルーカスは、ジャレット共に忙しそうにしてしているし。
怖くて占いにも向き合えない今の私は、誰の役にも立ててない。あまりにも無力だ。
「はあ……」
2年弱かけて、やっと自分の居場所も存在意義も見つけられたというのに、それが一気に足元から揺らいでくるようだ。
「……アドルフはなんて?」
廊下を歩きながら、ルーカスとジャレットが話しているようで、声が漏れ聞こえてくる。どうやらアルフレッドの元へ飛ばしたアドルフが、帰ってきたようだ。
「……で……が……」
遠ざかる彼らの声は、ほとんど聞き取れなくなっていく。ううん。聞き耳を立てるなんて、失礼なことはしちゃだめだ。
「ココアでもいれてこよう」
気持ちを落ち着かせるには、甘いものが一番。グノーはいるのかしら?と思いながら、食堂へ向かった。
「ジャレット、俺が……」
「いいえ、ルーカス様。この雨では、あなたは動けません。ここに留まって、知らせをお待ちください」
「……くそっ」
食堂へ向かう道すがら、気まずい場面に出くわしてしまった。