丸重城の人々~後編~
大翔「柚、おかしいぞ!」
中也「俺等を先に行かせて“一人で”どこ行くの?」
響子「てか、一人になれるの?」
玄「そんなの、姫は無理でしょ?」
将大「なんか、隠してるよね?」
英里「柚希、どうしたの?」

今の柚希は、とにかくみんなを怒らせないように必死で、一人になる恐怖など不思議と感じてなかったのだ。
柚希「いや、ちょっと、監視員さんと秘密の相談を……」
篤子「何?その怪しい発言!」
文乃「柚姫、正直に言いな!」
恵麻「なんなんすか?」
泰成「姫に俺達、ついて行く!」
流風「今だって、震えてんじゃん!」

柚希「………」
何かいい言い訳はないかと、考えていると……
先程の男性が、柚希達の横を通りすぎた。
柚希と少し目が合う。
そして、水中カメラをプラプラさせていたのだ。

柚希「え……!?まさか……」
確実に脅している。
柚希が何も言えない弱い立場だと、わかっているのだろう。
身体が震えてくる柚希。
大翔にしがみついた。
大翔「柚?どうした!?」
中也「てか、震えてんじゃん!」
響子「何があったか言いな!!」
玄「姫?」
英里「柚希?体調悪い?」

でも柚希は意を決して、みんなに向き直った。

柚希「将大さん!」
将大「ん?」
柚希「みんなに助けてって言うのは甘えじゃなくて、頼ってるってことだって言ってくれましたよね?」
将大「うん、そうだよ!」
将大が微笑み、大きく頷いた。

柚希「みんな、助けて!!」
全員「「「ん?」」」
柚希「あの男の人にお尻触られたの!!」
全員「「「はぁぁ!?」」」
柚希「たぶん、写真も……」
柚希は男性を指差し、言い放ったのだ。

その柚希の言葉に、すかさず中也が男性を捕まえた。
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