丸重城の人々~後編~
柚希「大翔」
大翔「ん?」
柚希「大翔」
大翔「何だよ?」
柚希「好き」
大翔「俺は、愛してる」
柚希「好きなの!」
大翔「柚?」
柚希「どうしたらいい?」
大翔「何が?」
柚希「大翔のこと好きすぎて苦しいのに、大翔に伝わらないんだもん!」
大翔「伝わってるよ!大丈夫」
柚希「伝わってないよ!だから大翔は、不安になるんでしょ?」
大翔「でも柚の愛情、伝わってるよ!」
柚希「胸が苦しい…」
大翔「は?柚!?」
柚希「そのくらい、好きなの!!!」
ガバッと起き上がった柚希は、大翔の上に跨がった。

大翔「ほんとだよ。不安だって言ったのは、俺の方が柚が好きだからワガママ言ってるだけ!もっと柚希一人占めしたいってことだよ」
柚希「ねぇ、大翔」
大翔「ん?」
柚希「私のこと壊して?」
大翔「え?柚、何言って……?」
柚希「だって、前に言ってたでしょ?私のこと壊せるって!」
大翔「うん」
柚希「だったら、できるでしょ?壊してよ!」
大翔「できない」
柚希「え…どうして?」
大翔「柚はわかってない。壊されるってことの意味が」
柚希「え?」
大翔「きっと壊れたら、柚は誰にも会えなくなるよ」
柚希「どうゆうこと?」

大翔「俺はね、柚を誰の目にも触れさせず、家の中に閉じ込めたいと思ってるんだ。
きっと……柚を壊すようなことがあったら、俺はここを出て柚を家の中に閉じ込めると思う。
そんなこと、されたくないだろ?」
柚希「それは怖い……」
大翔「だろ?だからもう二度と“壊して”なんて言うなよ!」
柚希「大翔は独占欲強いね」
大翔「うん、独占欲というか……支配欲だな!
柚の全部を、支配したい!」

柚希「大翔…怖いよぉ」
大翔「大丈夫。そんなことしない!」
柚希「うん」
大翔「ほら、リビング行こうぜ。いい加減戻らねぇと………みんながうるせー」
柚希「うん」

二人は、リビングに戻ったのだった。
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