丸重城の人々~後編~
将大「柚希ちゃん…よかった……
お前が、守口だな?」
守口「はい」
将大「柚希ちゃんを傷つけた代償、払ってもらう」
守口「はい」

柚希「え……」
大翔「柚、見ちゃダメだ!!」
柚希「え?何にするの?
━━━━━━━!!!!!」
柚希は一瞬……自分の目を疑った。

だって、将大が守口に拳銃を向けていたから。

大翔「柚、もう行くよ!」
中也「柚希が見るもんじゃない!」
大翔に抱き上げられ、ドアに向かう。

柚希「やだ!!下ろして、大翔!!
将大さん!!?やめて!!」
柚希が力一杯バタついた為、大翔は下に下ろした。
そのまま柚希は、守口の方に行き守口を背中に庇った。
大翔「柚!!行くな!!」
そして将大を見上げた。

将大の目と表情を見て、身体に恐怖が走る。
怖いなんてレベルではない。
まさに魔王のようだった。
柚希は、将大を怖いと思ったことがない。
でもそれは、将大がかなり気を遣い穏やかでいてくれているからなのだ。

将大「柚希ちゃん、危ないから離れて!」

柚希「嫌です!守口さんは、私を助けようとしてくれました。組長さんに殺されるかもしれないのに、私を逃がそうとしてくれたんです。そんな人を置いて行きません!
それに何より、将大さんに人を傷つけさせません!
将大さんは、大切なお兄さんなんですから!
みんなで一緒に帰りましょう!」
将大「君はどうして……」
ゆっくり銃を下ろした将大だった。

柚希「みんな、帰ろう!」
大翔「あぁ」
柚希「守口さんも!」
守口「え?」

柚希「一緒に来てください!」
柚希の満面の笑みがあった。
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