丸重城の人々~後編~
大翔のカフェに着きコーヒーを飲んでいると、休憩中であろう女性店員が話してるのが耳に入った。

女1「今日もカッコよかったね~大翔オーナー!」
女2「うん!ほんと、素敵!」

女達は柚希が大翔の妻だと知らない。
なので、ごく普通に話していた。
柚希は思わず、聞き耳をたててしまう。

女2「奥さんが羨ましいなぁ。
プライベートの大翔オーナーって、どんなかな?」
女1「どうだろ?案外甘えてたりするんじゃない?
奥さん、年上らしいし」
女2「へぇー、でも大翔オーナーに年上の奥さんって想像つかないなぁ」
女1「確かに!あの若さで凄い仕事できるし堂々としてて、大人って感じだもんね!
私達より二つしか変わらないのに、しっかりしてて!」
女2「てか、大翔オーナーほんとは年下が好みなんでしょ?」
女1「私達みたいな(笑)?」
女2「まぁね(笑)」
女1「やっぱ、頑張っちゃおうかな~?」
女2「いけるかもよ!!
だって、なんだかんだで大翔オーナーって気にかけてくれるし!好意もたれてるんじゃない?」
笑いながら話す、社員二人。

柚希「え……嘘…」
大翔からすれば、自分の仕事の迷惑にならないように(あくまでも自分の為)しているだけなのだが、柚希にとってはこんな小さな出来事も凶器でしかない。

中也「柚希」
柚希「ん?」
中也「大丈夫?」
柚希「うん…大翔、モテモテだね~(笑)
さすが!私の旦那様!!」
中也「…………そんな風に、笑うなよ……!」
柚希「え……」

中也「そんな泣きそうな顔で、笑うな!」
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