丸重城の人々~後編~
柚希「中也くん……」

向かい合って座っていた中也が、柚希の横に座った。
そして、柚希を優しく抱き寄せた。
柚希「ちょっ…中也くん!」
中也「俺がいるよ?
だから、そんな風に笑わないで?
いつでも、柚希の相手するよ?
柚希が寂しいなら、ずっと傍にいる。
柚希が話を聞いてほしいっつうなら、一晩中でも話を聞く。
兄貴の変わりに、いくらでも!」
柚希「うん…ありがとう……もう、大丈夫だから離して?」
中也「うん…」

柚希「どこ行くの?」
大翔のカフェを出て、中也に連れて行きたいとこがあると連れ出された柚希。
中也「俺の秘密の場所」

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柚希「綺麗~」
中也「でしょ?ここの海、綺麗なんだ!俺のお気にいり!学生の時に見つけてさ!
……よく一人で黄昏てた。
誰も連れてきたことない。秘密の場所」

柚希「え……?」

中也「なんで、私を連れてきたの?
………とか、言わないでね!」
柚希「うん、ありがとう!素敵なとこだね!」
中也「柚希なら、いつでも連れてきてあげる。
でも、柚希だけ!兄貴や他の連中はダメ!」

海風に揺れる中也の短い髪の毛が、いつにも増して綺麗だ。

柚希「綺麗…」
中也「でしょ?」
柚希「違うよ。中也くんがだよ」

中也を真っ直ぐ見上げる、柚希。

中也「柚希の方がよっぽど……」
柚希「いつも、ありがとう!
中也くんがいてくれるから、お仕事ととっても楽しい!お買い物とかも中也くんがいてくれるから、安心して外に出れるの!」
中也「うん!」

凛音「これからもよろしくね!ここのことも大翔達には言わないから!」
中也「そ!二人だけの秘密!」
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