丸重城の人々~後編~
中也は柚希を壁に押しつけていた。
柚希「中也…くん…
嫌…やめて……」
柚希の身体が震え出す。

大翔「中也!!お前…」
中也「…るせー!なんで、そんなこと言うんだよ!?
俺は!柚希の傍にいたいの!
一生、俺のモノにならなくても傍にいたい!」
柚希「あ…あ…ごめんな、さい…怖い…」
中也のこんなに怒った顔は初めてだ。
柚希はただただ、震えていた。

大翔「もうやめろ!」
大翔が中也の襟足を持って引き剥がした。
その勢いで、中也は壁に背中を打ち付けた。
中也「うっ…!!
……ってぇ…」
柚希はそのままズルズルと、へたりこんだ。

大翔「柚!?もう、大丈夫だよ……!」
柚希を抱き締めた、大翔。
大翔にしがみつく、柚希。

響子「柚希、中の気持ち考えるならこのままでいてあげな!中も玄も将大も私だって、みんな柚希の傍にいたいんだから!」
玄「姫、そんな悲しいこと言わないで?
姫は、毒蜘蛛にいた時から俺達の姫なんだから!」
将大「柚希ちゃん、ゆっくりでいいんだよ!ゆっくり人に慣れていこうよ!」
中也「柚希、怖がらせてごめん!ただもう二度と……そんなこと言うなよ!」

大翔「柚…コイツ等なら、許してやるから!
傍にいて、仲良くしてやれよ!」
柚希「うん…みんな、ありがとう」

そしてみんなで食事をして、それぞれ部屋に移動した。
大翔「柚……可愛い~」
柚希「………」
大翔がいつものように柚希を腕枕して、抱き締めている。
大翔「柚…?」
柚希「私、中也くんを傷つけてばっかだよね……
私が大翔を選んだ時から……
中也くん、優しいからつい…好意に甘えちゃって……」
大翔「でも、中也が自分から傍にいたいっつたんだから、甘えていいんじゃねぇの?」
柚希「うん…そうだね…」

大翔「それより、愛し合おう…!もう…我慢できない……」
二人、愛し合って眠ったのだった。
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