丸重城の人々~後編~
丸重城の住人

【旅行・出発】

柚希「ねぇ、響ちゃん…手、繋がない?」
響子「うん、もちろん!
でも…どうしたの?手繋ぐなら、大がいいんじゃないの?」
柚希「でも、あの中に入りたくない……」
響子「確かにね……。
端から見ると、怖いわね……」

柚希の退院祝いに、広子を省いた六人で温泉旅行に来ている。
将大の別荘にみんなで泊まり、近くに温泉があるからとみんなでやってきたのだ。
今、電車に乗ろうと駅にいる。

そしてなぜ柚希が怖がっているのかと言うと━━━

電車の中で食べる弁当を買おうと、男四人で売店に行っているのだが、なにせこの四人は元・暴走族と、現・ヤクザ若頭だ。
四人が固まると、物凄い黒いオーラで恐ろしいのだ。

周りの人間もビビっていて、目をそらしている位だ。
柚希「でも、別に四人で買いに行かなくてもよかったよね…?」
響子「でも、みんな張り切ってたじゃない?
柚希の為に必死なのよ!」
柚希「うん…でも、私はみんなが傍にいてくれるだけで、十分なんだけどな!」
響子「そうね!
それにしても遅いわよね……てか、もめてない?あの四人」


中也「やっぱ駅弁と言えば、焼肉じゃね?」
大翔「は?こんなボリュームありすぎなやつ、柚が食えるわけねぇだろ?アホか!」
玄「じゃあ…サンドイッチは?可愛いじゃん!姫って感じ!」
大翔「は?軽すぎだろ!?あとで腹減るじゃん!柚がかわいそうだ!」
将大「だったら、普通に幕の内みたいなバランスいいやつにすれば?」
大翔「は?おっさんじゃねぇんだよ!」

中也「じゃあ、兄貴は何を薦めるんだよ!?」
大翔「このオムライスだな!」
中也・玄・将大「はぁぁ?なんで!?」
大翔「だって、柚、玉子好きだし!」
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