丸重城の人々~後編~
柚希「え?」
政喜「俺はずっと、柚希が好きだったんだよ!」

柚希「え?え??」

男達「やっぱりな……」
響子「まぁ、そうね…だから私と結婚したのよ、政喜」
柚希「全く…意味がわからない……」
意味がわからず、頭の中“??”の柚希。
フッと笑って、政喜が言った。

政喜「俺は、最初から柚希が好きだったんだ。
将大と響子が付き合ってる時、二人にくっついている柚希に一目惚れしてさ!
アプローチしようにも、響子が邪魔して近づくに近づけなくて……そしたらあっという間に、忠司がかっさらって行ったんだよ!」
柚希「え?でも忠司くんを紹介してくれたのは、政喜くんだよ?」

政喜「俺はそんなつもりで紹介したんじゃねぇよ!」
柚希「え?」
政喜「忠司に好きな女ができたって言ったら、会ってみたいって言ったから会わせただけ!
なのに忠司も一目惚れして、ほんとにあっという間だった。次会った時にはもう恋人同士だった」

響子「柚希、ずっと隠してたんだけど……私と政喜は、お互いに本当に好きな人への当てつけの為に結婚したの。
私は将大へ、政喜は柚希への……」
柚希「だから、一緒に住もうって言ったの?」
政喜「そう。せめて傍にいたかったから。
一切手は出せなくても、傍にいたかったんだ……!」

響子「でも…そんなのうまくいくわけないわよね……」
柚希「だから一年も、もたなかったんだね……」
政喜「俺が限界を越えたんだ……あのままいたら、もう理性が保てないと思ったから…」

柚希「そう……私は、何も…知らなかった。
二人の思いを何も……
ごめんね……」
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