丸重城の人々~後編~
英里「あ、はい。
毎日仕事が忙しいので、ここなら家政婦さんがいるから家事はしなくて大丈夫って聞いて……」

広子「えぇ、いくつか約束を守ってくれれば、基本的には自由よ。家のことは私と柚希ちゃんがするから、仕事に集中してくれて構わないわよ!」
英里「はい。是非、お願いします」

響子「貴方、恋人いる?」
英里「いえ…いません」
響子「この子は、ある病気でなかなか人と話すのが難しいの。今も、大翔にしがみついて目も合わせないでしょ?」
英里「えぇ」
響子「悪く思わないでね!これでも頑張ってる方なの。
で、この柚希がこの家の中心なの。病気克服の為にここにいるから。
柚希を傷つけたら、ここにはいられない。
それが絶対条件よ!!
今まで色んな人が、ここの男達に惚れたり、柚希に嫉妬して傷つけてきた。その度に病気克服が遠ざかって……
要は、貴方が柚希を傷つけらければ問題ないの!
私達の心配はそれだけ!
貴方がフリーってことは、ここの男達に惚れる可能性があるってことだし、どうしてもそれを考えちゃうの」

英里「あの、お言葉ですが……
私、色々あって恋愛はこりごりなんです。
今は仕事が楽しいってこともありますが、その心配はないかと……
もちろん、ここにいる方達を傷つけようなんて思ってません」
響子「そう…わかったわ!」

広子「話はこれでいいかしら?
他にお互い、聞きたいことは?」
大翔「響子が言った通りだ」
広子「英里さんは?」
英里「いえ、大丈夫です」

広子「じゃあ、後日連絡するから!」
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