丸重城の人々~後編~
柚希「え?」
広子「大翔に聞いてみたら?」

大翔「はぁ?そこまでしていらねぇよ!
俺は柚がいれば、何もいらない!」
その日、大翔が仕事から帰ってきてすぐ話をする柚希。
大翔は柚希を真っ直ぐ見据えて言った。
柚希「でも…」

大翔「……………結婚したら、子ども生まなきゃダメなの?」
柚希「え?」

大翔は微笑み、柚希の頭に手を乗せた。
大翔「宗おじと広ばぁを見てみろよ!楽しそうじゃね?
まぁ、宗おじと広ばぁは俺と中也の両親みたいなもんだけどな!中也が生まれてすぐ両親が死んだから。
もし俺達の両親が死ななくても、子どもは生まなかったって言ってたぞ!
宗おじと広ばぁは自由人だから、二人でやりたいようにしたいってよく言ってたからな!
子どもがいなくても、幸せな夫婦はいくらでもいる。
それに無理して作るもんじゃないだろ?
そんな風にできても、俺は嬉しくない。
子どもも迷惑だ!
今後子どもができなくても、柚がいれば……柚が傍にいれば俺は幸せだよ。
あ!もちろん、子どもができたらできたで嬉しいよ!
でもまずは、柚が病気を克服すること先だ。
ゆっくりでいいんだよ。ゆっくり、一緒に乗り越えようよ!
もし…一生克服できなくても、柚と二人で暮らしていけることに意味があるんだから!」

柚希「うー大翔…ありがと……ありがとう!
大翔、大好き!!」
涙を流して抱きつく、柚希。
大翔「俺は、愛してるよ!」
柚希を抱きとめ、抱き締める大翔だった。

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そして英里が入居してしばらく経った頃。
響子と玄も仕事が休みの為、みんなで夕食を食べていた。
宗一郎「みんな~!宗おじちゃんが帰ってきたよぉ!」
広子「あら、いらっしゃい!宗ちゃん」
宗一郎「広ちゃん、しばらくお世話になっていい?
久しぶりに広ちゃんのご飯食べたくてね!」
広子「もちろん、OKよ!」

柚希「宗一郎さん、ご無沙汰してます」
宗一郎「柚ちゃん、久しぶり~!
相変わらず、可愛いね!
宗一郎さんじゃなくて、宗ちゃんって呼んでって言ったじゃん!」
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