丸重城の人々~後編~
中也は柚希のジッポーへの視線を見る。
中也「言った通りだろ?」
柚希「うん!」

大翔「あ?」
玄「何の話?」
中也「内緒!」
泰成「なんか、怪しい~」
流風「姫、教えて?」
中也「柚希!二人だけの内緒にしよ?」
柚希「え?う、うん…」

大翔「柚」
柚希「ん?」
大翔「ここでキスする?」
柚希「は?」
大翔「教えろよ!」
柚希「そこまでムキになることないよ?」
大翔「ムキになることだよ?
中也と二人だけの内緒なんて、許さないよ!」
柚希「うー」

中也「はぁー、ジッポーだよ!」
中也がため息混じりに言った。

大翔「は?」
中也「俺達五人、お揃いのジッポー使ってるだろ?
その話を柚希にしたの」
玄「あーこれね!」
泰成「結構使いやすいよな!」
流風「うん、手入れは大変だけど、慣れたらこれじゃないとね!」
大翔「でも中也は、ダメにしたんだろ?」
中也「うん、でも新しいヤツがあるからいい!」

玄「へぇー、蜘蛛だ!」
泰成「よくこんなの見つけたな!」
流風「作ったの?」
中也「プレゼントしてもらったから」
大翔「誰に?」
中也「え?」
大翔「誰、か、ら、のプレゼント?」

英里「それ、柚希が昨日買ってたジッポーですね」

響子「英里のバカ!!
余計なことを……!!!」
英里「え?
━━━━━━━はっ!!」
英里は大翔の表情を見て、やっと事態を察する。

大翔「柚ちゃんと、中也くんは俺を怒らせて楽しい?」
将大「柚“ちゃん”?」
玄「中也“くん”って……」
響子「怒ってる……」
英里「ごめんなさい。余計なことを……」

柚希「中也くんにお礼をしたかったの!」
大翔「柚はバカか!
こんなことしたら、また中也に気を持たせるだろ!?」
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