丸重城の人々～後編～

俊哉｢バカ…！｣
賢士｢余計なこと言うな！｣
昭孝｢七美にそんなこと言ったら……｣

ガン━━━━！！！
七美｢おい！ガキ！！｣
一瞬で胸ぐらを掴まれ、壁に押さえつけられる大翔。
柚希｢嫌！先生！やめて！！｣

でも大翔は、至って冷静に見据えていた。

七美は柚希と響子の高校三年の時の担任で、かなり男勝りな女性教師だ。
柚希、響子、俊哉、篤子、文乃、恵麻、芽衣、一華、賢士、昭孝はみんなそれぞれ色んな悩みを持った学生だった。三年二組の落ちこぼれの不良軍団と言われていた。
家族からの虐待、家族の期待によるプレッシャー、卒業後の進路の悩みなど……
その事でよく喧嘩で補導されたり、万引きなどもしていた。(その中でも柚希は、見てるだけで怖くてできなかった)
周りの大人達が離れていく中で、七美だけは変わらず味方でいてくれたのだ。
本当はみんな素晴らしい生徒だと、信じ続けてくれたのだ。
そして間違ったことをした時は、きちんと叱り正してくれていた。
だから、柚希達にとって大切な教師だった。

七美も元不良で、レディースの総長をしていた。
響子は七美に憧れて、シスルを作ったのだ。

七美は人を見下すこと、バカにすることを嫌う。
それは自分自身や、生徒達対しても。
だから大翔にばばぁだとバカにされたことに、キレたのだ。
七美｢お前、年上の人間相手に初対面で“ばばぁ”だと！口の聞き方を勉強しろ！？｣
大翔｢でも自分が言ったんじゃん！｣
七美｢私が言ってるのは、口の聞き方だ！
いいか！どんな人間でも年上は敬え！
これが基本だ！
もし最低な年上の人間がいたら、私が守ってやる！
だって私は、お前等より年上だからな！｣

大翔｢はい、すんませんでした｣
七美｢よし！｣
そこで、手を離した七美だった。