丸重城の人々~後編~
将大「俺が愛しているのは、間違いなく響子。
なのに、無性に君を抱きたいって思う時がある」

柚希「え…!?
抱きっ……え?え?」
将大「ごめんね…大丈夫。そんな、傷つけることしないよ?誓って……!
ただ…柚希ちゃんが心を奪っていく…」
将大の目が、切なく揺れた。

柚希「ご、ごめんなさい…私…」
将大「君が悪いんじゃないよ。
ただ、そう思うってだけ!気にしないで?」

シン「ボス!」
将大「どうした?」
シン「………」
将大に耳打ちするシン。
将大「ん。
柚希ちゃん、ちょっと待ってて!すぐ戻って来るからね!」
頭をポンポンと撫でて、一度外に出た将大。

入れ違いに、店長が現れた。
店長「コーヒーのおかわりいかがですか?」
柚希「あ、は、はい…お願い…します」
目を合わせられず、俯いてコーヒーカップを渡した。

店員「どうぞ」
柚希「あ、ありがとうございます…」
俯いたまま、コーヒーを受けとる柚希。

鈴田「花井」
柚希「え……
━━━━━━━鈴…田せ、んせ…どうし…なん、で……」
柚希は途端に震え、椅子から滑り落ち、床にへたりこんだ。
腰が抜けたように後退る。
鈴田「ごめんね、謝りたいだけなんだ。
まさか僕が勤めているここに来るなんて……さっきの人が旦那?結婚したって聞いたけど」
柚希「あ…あ……」

【先生!離してください!!離して!!
俊くん!響ちゃん!みんな、助けて!!】
【ほんと、可愛いね~僕が教師じゃなかったらなぁ。普通に告るのに……】

あの日の出来事が甦った。

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