世にも歪な恋物語
モテるんだろうな、きっと。
わたしは、さんざん周りから羨ましがられてきた。
『あんなにイケメンな先輩と幼なじみなんてズルイ!』……って。
カッコいい、かな?
一緒にいすぎてよくわかんないや。
アイドルみたいな顔とは、ちょっと違うと思うけど。
「彼女と会ったり電話したりしなきゃいけないから。すぐに帰っちゃうの?」
「そんな暇あるなら寝たい」
と、いうことは。いない……?
「アイス食べていきなよ」
「いらね」
「えーっ」
「オヤスミ」
「もう寝るの?」
「起こすなよ」
「……いいもん。わたしは、さっそく気になってた動画みるもん」
「あっそ」
「ねえねえ。なに見ると思う?」
「どうでもいい」
「ひどい!」
「どうせくだらねえモンみんだろ」
「……そんなこと、ないし」
前まで、一緒に映画とかアニメみてたのにな。
だんだん離れてくのかな。
「俺がいなきゃ。困るわけ」
「べ、べつに」
「寂しいヤツ」
「こまら……ない、もん」
「だったらゴキブリが出ても連絡してくんなよ」
「それはムリぃ!!」
お風呂上がりに脱衣場にいたゴキブリを退治してもらったの、懐かしいな。
あのときのわたし、バスタオル一枚で震えていたっけ。