世にも歪な恋物語
「どんな人だった?」
「顔は、見てない。……けど」
「けど?」
リオが目をキラキラさせる。
近くにいた女子もまた期待の眼差しであたしを見つめてくる。
「貴公子みたいだった」
「へ?」
次の瞬間、教室が静かになった。
――――ガラッ
前の扉が開いたのだ。
そこから、まず、担任が入ってくる。
定年間近のおじいちゃん先生だ。
のんびりした人で、タクミが遅刻しようが校則違反のオンパレードだろうが、あまり注意している様子はうかがえない。
続いて噂の転校生が扉をくぐったのだが――
「……でけえな」
タクミがボソッとつぶやいた通り、でかい。
180こえてそう。
ほんとに同級生かよ。