世にも歪な恋物語
「神崎さん」
放課後、リオと教室を出ようとして呼び止められた。
……ニシサカに。
「なに」
話しかけられるような用事、あった?
ないよな?
接点がなにひとつ思い浮かばない。
「このあと、忙しいかな」
「……は?」
「よかったら。街を案内して欲しいんだ」
ニシサカの突拍子もない発言に、近くにいた女子たちが、青ざめる。
おおかた『どうしてシホなの』とでも言いたいのだろう。
「なんであたしが」
「きみにお願いしたいから」
なに。いきなり。
あんた、車で来てんでしょ?
運転手にでも頼めよ。
「忙しい」
「じゃあ。明日は?」
「他の人に頼んで」
喜んでしてくれる子、いくらでもいるだろう。
「どうしても、ダメ?」
……めんどくさい。
無視して立ち去ろうとして、リオに腕を捕まれる。
「案内してあげようよ! 私も手伝うし!」
……それ、あんたがニシサカと街を歩きたいだけでしょ。