世にも歪な恋物語


「僕の見てええよ」

 うっかり英語の教科書を忘れたとき。

 和葉さんが、わたしの机に自分の机をくっつけてくれて、一緒に和葉さんの教科書を使った。

 ……ヤバかった。

 もとから勉強は得意ではないのに、ますます頭が真っ白になってさ。

 先生に当てられて固まったとき、さりげなく、解答を見せてくれたんだ。

 こんなの、好きにならない方が無理じゃないかなあ!?


「消しゴム忘れたん?」


 小テストの直前。

 筆箱をあさって焦っていたら、わたしのピンチに気づいた、和葉さん。


「……うん」


 思えば、見られたくないところばかり見られてきた。

 教科書や消しゴム、赤ペン、それからシャーペンの芯。

 なにかと忘れ物をして、その都度、ダサいところを目撃されてしまった。


 さすがに続きすぎだろ、わたし。

 恥ずかしすぎる。


 穴があったら入りたくなった、そのとき。

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