世にも歪な恋物語


「いっしょに帰ろ。シホちゃん」

「無理」

「車で送るよ?」

「歩いて10分なのに乗る意味がわかんない」

「雨降ってるし」

「リオ! かえろ!」


 せっかくシホちゃんと同じ学校に通うことができたのに、避けられている。


「ごめんねー? 西坂くん」

「なに謝ってんの。リオ」

「え~。なんか、かわいそうじゃん。こんなに一途に愛されてるのに――」

「行くよ」


 いいんだ。

 毎日のように顔を合わせることができるから。


 これから仲良くなるから。


 ここは、時差もないし。


 異国で画面ごしにSNSをチェックしていただけの日々よりずっと、きみが近い。


 同じ空間で息ができるのが嬉しい。

 
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