世にも歪な恋物語
図書室を出て下足場までやってくると、それぞれの学年の靴箱に向かうために一度別れる。
上靴から外靴に履き替えていると、部活を終えた運動部の連中がグラウンドから校門へ向かうのが見えた。
青春って、ああいうのを言うんだろう。
あまりにも無縁な世界。
「お待たせしました、センパイ」
まっ白なスニーカーを履いて、笑顔で私のもとへやってくる後輩A。
「……仔犬か」
「オレの名前、知りたいですか」
「別に」
「そんなこと言わずに。もっとキョーミ持ってくださいよ」
「……さっき私が君のこと知らないこと。不思議がったよね」
「あー。はい」
「どうして?」
「そりゃあ。オレ、けっこう有名ですから」