世にも歪な恋物語


 だろうね。

 もしも君を一度でも視界に捉えたことがあったなら、きっと私は、忘れたりしない。


「5万人超えました」

「なにが」

「フォロワー数です。SNSの」

「ごっ……」

「けど、まだまだ知名度ないんですね。調子に乗りました」


 何者なの、この子。


「この学校にオレのこと知らない人なんて。いないものかと」


 芸能人とかモデルだったりする?

 その容姿なら、十分にあり得る。


「もっと有名になれないものですかね。手っ取り早く」


 動画配信者やインフルエンサーの可能性も。


「焦らなくても。……なれそう」

「ほんとですか?」

「君はまだ若いんだし」

「えー。ひとつしか違わないのに、なんかセンパイってオトナ」


 私は未来のことなんて、考えられない。

 考えたくない。


 有名になって。……どうするの?


 たくさん稼ぎたい?

 承認欲求を満たしたい?


「まあ、センパイの場合。オレに――っていうよりは。他人にキョーミなさそうですけど」

「……かもね」

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