世にも歪な恋物語


 セーラー服に、袖をとおす。

 それには琴センパイの香りと温もりが残っていた。


「……すごく似合う」

「まあ。オレですから」

「謙遜しないよね」

「する必要、あります?」


 オレが琴センパイの制服を身にまとい


 センパイにはオレの服を貸した。


 思った通り。

 オレたち、同じサイズの服が着られるんですね。


 長い黒髪のウィッグをかぶり、ほんの少しメイクをほどこす。


「……やっぱり、やめよ?」

「なにも心配しなくていいので。センパイは、うちにいてください」

「君が汚れる必要……ない」

「いいんですよ。琴センパイ」


 いくらでも汚しましょう。

 あなたのためなら、何度だって。



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