世にも歪な恋物語

 小学一年生のとき、担任の先生から【友達の名前は、名字にさんを付けて呼びましょう】と教わった。

 それ以来、性別に関わらず、そのルールを適用するのが、自分の中では当たり前になっていた。

 中学生になった今も習慣化していた。

 だけど、周りの子は、そうじゃない。

 仲のいい友達にはニックネームをつけたり、名前を呼び捨てにしていたり――親しげに互いを呼び合う光景を、たびたび目にしてきた。

 それが、わたしは、不思議で仕方がなかった。

 わたしには、そんな相手が、いないから。

 本当は、どこかで羨ましかったのかもしれない。

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