世にも歪な恋物語


「……結局。先輩がわたしに聞きたいことってなんだったんだろう」


 先輩は、氷のように冷たく、もはや観賞用がちょうどいいと言われているみたい。


 それでも近づけるのは、勇気のある女の子だけなんだって。


「冷たくは。……なかったけど」


 ゴミを、捨ててくれた。

 交換条件とはいえ絵のモデルになってくれた。

 動かないでとお願いしたら、じっと同じポーズでいてくれた。

 結局先輩の話を聞けずにわたしばかり話したけど、聞いてくれたし。


「先輩なりに向き合ったって……どういうことだろう」


 次に会えたら、今度こそ、先輩の話を聞かなきゃ。


< 81 / 107 >

この作品をシェア

pagetop