世にも歪な恋物語


「お昼。一緒に食べない?」

「……心臓に悪いです。深見先輩」


 翌日、昼食をとろうとお弁当を広げようとしたとき。

 先輩が2年の教室まで来たものだから、軽く騒ぎになった。


 で、こうして非常階段まで逃げてきた。


「こんなコソコソしなくても。いいんじゃない?」

「先輩は、自分の人気を知らなさすぎです」


 自覚してくれませんかね。

 あなたといたら目立って仕方がないと。


 先輩が王子なら、わたしは平民です。


「飾ったよ」

「え?」

「昨日の絵。自室に」


 わたしの描いた絵を?

 先輩の、お部屋に……!?


「あ、ありがとうございます」


 浮いてないだろうか。

 ド素人の絵だもん。


「どうして君が礼を言うの」

「……いや。そんなことしてもらったの、初めてで」

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