世にも歪な恋物語



 なにが起きたか、わからなかった。


「そいつじゃなくて」


 ありえないほど、先輩の顔が、近くて。


「俺を見て」

「……え」

「ドキドキするのも。切なくなるのも。俺にしなよ」



 柔らかいものが、唇に、あたった。


< 95 / 107 >

この作品をシェア

pagetop