再会は涙色  ~元カレとの想い溢れる一夜からはじまる物語~
「もしも今回の決断が私のことを思っての事なんだとしたら、変えられないかなって」
『え?』
理久が一瞬黙る。
「確かに、理久はもうやりたいことと、やりたくないことを分けて仕事をしてもいいと思う。それだけの基礎ができてるって思う。その基礎は理久が努力をして積み上げた成果だっても思う。」
『・・・』
電話の向こうで理久が麻衣の言っていることの意味を探していることも、麻衣にはわかっている。

「でも、表舞台に出ないって決めるのはどうかなった思う。」
『麻衣』
「理久の歌をもっとたくさんの人に聴いてほしい。直接歌ってる理久の声を聞いてほしい。だから今回が最後のコンサートだなんてもったいないよ。」
『麻衣』
理久が麻衣の言葉をとめようとするのを麻衣は譲らずに早口で話をする。

「私も理久のファンだもん。悲しいよ。きっとたくさんの人が悲しむよ。今まで理久を応援してくれた人が。支えてくれた人が悲しむ。」
麻衣はギュッと手を握りしめて続ける。
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