再会は涙色  ~元カレとの想い溢れる一夜からはじまる物語~
だから、理久が麻衣を求めた時。
すべての感情を麻衣にぶつけてきてくれた時。

今だけ、今だけと言い聞かせながら、理久の背中に手をまわして、抱きしめた。

今が自分の人生の一番幸せな場所で、ここからすぐに離れなくてはならないと思いながら。

でも、その幸せな場所で、芽生えた感情も、生まれた希望も、すべてを忘れずに胸に抱えて、力に変えて生きて行こうと。

「だから、理久」
『ん?』
「私はまだ、理久の所には行けない。」
『麻衣・・・』
「私はまだ、ここでやりたいことがある。今度は・・・理久が待ってくれる?」
少し震える声で言う麻衣。
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