再会は涙色 ～元カレとの想い溢れる一夜からはじまる物語～

真実はここに

コンサート当日。

「心配していた天気にも味方されて最高のコンディションで今日を迎えることができてうれしいです。」
朝のミーティング。
理久の会社の社長が挨拶をする。

「今回のコンサートは理久にとって初めての経験です。我々も理久の想いを実現させたいと思い今日までできるサポートをしてきました。」
関係者が全員ステージに集まり円になっている。
「理久はわが社を卒業します。このコンサートが終わったら。この卒業は私が理久に出会った5年前にはすでに決まっていました。理久はずっと”5年”にこだわってきた。」
社長が理久の方を見る。
理久もまっすぐに社長を見ていた。
「本当はまだまだ一緒に仕事をしたいと思えるくらい、理久は逸材です。この業界に長年いる私にとっては、二度と会えないような逸材だと確信しています。まだまだ、理久の成長を見たい。彼がこれから見る景色は、どんな景色なのか、知りたい。でも、理久は卒業します。」
社長に向かって小さく頭を下げる理久。