再会は涙色  ~元カレとの想い溢れる一夜からはじまる物語~
麻衣はその日目を覚まさなかった。
翌日、麻衣の母親が病室に来た時も麻衣は目を覚まさなかった。

理久は麻衣の母親を知っている。

久しぶりに理久を見た母はその場ですべてを悟ったようで、話をすんなりと受け入れてくれた。
理久がもう麻衣から離れないこと、麻衣になんと言われようとも一緒に居たいと伝えると、瞳に涙を浮かべながら頷く。

麻衣の母は麻衣の理久への気持ちをよく知っている。娘の想いがやっとかないそうな時、事故に遭った娘に、切ない気持ちをこらえられなかった。

麻衣が妊娠していることも、理久は麻衣の母親に話をして、医師からの病状説明も、麻衣の母は責任をもって立ち会うようにと理久に告げた。

麻衣の状態を知った麻衣の母は手を震わせながら、医師に深く深く頭を下げた。
どうか娘を助けてほしいと。

理久も麻衣の母と一緒に頭を下げて医師にお願いをする。

「お願いします。麻衣の命を、助けてください。」と・・・。
< 156 / 275 >

この作品をシェア

pagetop