再会は涙色 ～元カレとの想い溢れる一夜からはじまる物語～

麻衣の母に、看護師は事故に遭った時にもっていたバックを預けた。

「私はタクシーで麻衣の部屋に行って荷物を持ってくるから。理久君いてくれるわよね？」
「はい」
「私の携帯番号は知ってるでしょ？昔から変わってないから。」
「何かあったら連絡します。」
付き合いの長かった麻衣と理久。
お互いの両親の連絡先も実家の連絡先も知っている。

「理久君」
「はい」
「これ」
麻衣の母が理久にあるものを渡す。
「これはあなたが持っているべきだと思って。あの子が目を覚ましたら、ちゃんと話合わなきゃね。」
「はい」
「私は娘を信じてる。こんなことでくじける子じゃない。この子は強い子だから。」
麻衣に視線を向ける母は、少し瞳を潤ませながら、麻衣の髪を撫でる。