再会は涙色 ～元カレとの想い溢れる一夜からはじまる物語～

病室には理久と麻衣の母と稜真。

「まだ意識が戻ったばかりです。この1週間意識がなかったので体力もかなり落ちている状況です。今夜はおひとりだけ付き添いであとは明日いらっしゃってください。」
医師の言葉に、稜真はすぐに帰宅した。

自分がいると仕事のことを考えて気持ちが余計に休まらないだろうと言いながら、麻衣に手を振って戻る稜真。
でもその瞳が少し赤らんでいることに麻衣も理久も気づいていた。

麻衣の意識が戻ることを願っていたのも、意識が戻ってうれしい気持ちも、稜真も大きい。
理久からの連絡に車を運転しながら視界がかすんだ。

自分が泣いていることに気づかないまま病室の入り口に立った稜真。
病室に入ってすぐ、麻衣の姿を見た時に、一気に加速して霞む視界に自分が泣いていることに初めて気が付いた。

慌てて涙を拭ってから麻衣に向けた笑顔。