再会は涙色 ～元カレとの想い溢れる一夜からはじまる物語～

麻衣も理久も母しかいない。

「なぁ、診察が終わったら話したいんだけど、いい？」
「うん」
理久はこれからの話を麻衣にしようと決めている。
一晩中考えていたことを。

麻衣の診察には理久が付き添った。

足の裂傷に関してはまだ時々動かし方により傷がひきつる痛みはあるものの、体力を回復させながら無理のない程度に動かしていくことを助言された。
腕の骨折もうっすらと骨の膜ができてきており、ギプスも数週間で外せるだろうと診断された。

一番心配していた脳内の出血も完全に消えて、新たな出血も認められていない。

「来週、退院しましょう。退院に合わせて理学療法も作業療法も終了してかまいません。なるべく体を動かして体力を回復させて退院に向けて頑張りましょう。」
「はい」
医師からの言葉に張り切って返事をしたのは麻衣よりも理久が先だった。