再会は涙色  ~元カレとの想い溢れる一夜からはじまる物語~
高層マンションの最上階に理久の部屋があった。
その扉を開けると、中はほとんどものがない状態で、誰かが住んでいると信じがたいほど閑散としている。

車いすのままだった麻衣が、玄関の中に入り車いすを降りようとすると、稜真がすぐに支えてくれた。
「ありがとう」
「瀬波さんからすぐに診察してもらうようにって言われてる。話によると・・・」
麻衣を支えながら稜真も理久から電話で指示されたことを確認するように視線を動かした。

「あーこれだ。」
リビングに入るとそこには大きなソファベッドが置かれていて、麻衣の好みの納付やクッションが置かれていた。
「いろいろ、準備してたらしいけど、間に合わなかったって言ってたぞ?瀬波さん。」
麻衣は理久の気遣いがうれしくてふっと微笑みながら、ソファに座った。
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