再会は涙色 ～元カレとの想い溢れる一夜からはじまる物語～

稜真がほかの部屋にいる間に、麻衣は医師と看護師の診察を受けた。
毎日、経過を診るために来てくれるという医師の説明を聞いてから、今までいた病院から処方された薬を継続して飲むように言われた麻衣。

少しずつ体力を回復させるために、家の中で動くようにすることをアドバイスされた。

「今日は、久しぶりの病院の外ですから、ゆっくりと体を休めてくださいね。運動は明日からするようにしてください。とはいっても、ベッドから出てソファに座っているだけでも今のあなたにとっては重労働のはずだ。あくまで少しずつですよ。」
高齢の医師はとてもやさしい口調で麻衣に話をしてくれた。

「はい。ありがとうございます。」
「何かあればこちらに連絡をください。私たちは訪問中心に診療をしていますので、伺います。」
看護師も高齢の女性で、麻衣に触れる手も優しく安心できた。

診察が終わり看護師と医師が帰宅すると、稜真もあれこれ麻衣を世話してから部屋をあとにした。