再会は涙色  ~元カレとの想い溢れる一夜からはじまる物語~
番外編 ~あの日の君に~
「麻衣」
重苦しい空気。
こんな空気にしてしまっていることが申し訳ない。
わかっている。
わかっているんだ。

この言葉を飲み込めば、麻衣はこんなにも不安な顔をしないで済むと。
でも・・・言わずにいられない俺を、いつの日か、麻衣は許してくれるだろうか。

「ごめん、俺・・・」
夢を追いかけるために、旅立ちたいんだ。
何度も練習をしたのに、つい言葉に詰まる。

「いいよ」
「え?」
頼りなく言葉に詰まった俺に変わって、言葉を発したのはほかの誰でもない。
麻衣だった。
< 266 / 275 >

この作品をシェア

pagetop