再会は涙色  ~元カレとの想い溢れる一夜からはじまる物語~
「そうだね」
嘘だ。

麻衣と理久は中学生から同じクラスだった。
中学生の時はあまり話をしなかった二人。
そもそも、麻衣は常に女友達と仲良しグループで行動をしていて、理久はあまり特定の友達と群れるタイプではなかった。
昔から好きなものは好き、嫌いなものは嫌いとはっきりとしていた性格で、自分にとって必要なものと必要じゃないものの選択ははっきりとしていた。

それが同じ高校に進学をして、一緒に学園祭の準備をしている時に、急に距離が近づいた。

学園祭の時に、麻衣は初めて理久が歌っているのを聞いた。
小さな学校の体育館の特設ステージで、その場にいる誰もが理久の声に一気に鎮まり返った。

あの時、全身が震えるほど感動したことを、今も鮮明に覚えている。
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