再会は涙色  ~元カレとの想い溢れる一夜からはじまる物語~
電話の向こうで理久はギュッと握っている手に力を込める。
本当は今すぐに泣いている麻衣の所に行って抱きしめたい。

あの言葉が嘘だってことはすぐにわかる。
一緒にいた時間が長かったからじゃない。

この5年。
離れている間にもずっと想いは募るばかりで、麻衣の事ばかりを考えていた。

だからこそわかる。

再会したあの日。
自分の頬を撫で、ギュッと抱き着いてきた麻衣。
寝たふりをしながら、麻衣の複雑な想いも、離れている間にどれだけつらい思いをさせたのかも、理久は知った。

そして、麻衣の気持ちがまだ自分に向いていることも・・・。
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