花の妖精は秘密が多い

「桜河くん……」

私がそっと一瞬触れた唇に触れると、雨がだんだん止んでいく。しばらくすると空に美しい虹がかかった。

「見て、綺麗だよ！」

桜河くんが虹を指差し、笑顔を向ける。誰かと両想いになってこの力を受け入れてもらった時、空には美しい虹がかかる。そんな話をお母さんが昔してくれたっけ……。

この力にはまだ桜河くんに話していない秘密がたくさんある。初めて手を繋いだ時、初めてハグをした時、初めての出来事に力は大きく動いて何かが起こるの。

でも、それはまだ秘密にしてもいいかな。秘密が多い方が恋は楽しいと思うから……。