恋人ごっこ幸福論
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「洗濯も干した、掃除も終わった。あとは…えーっと」
橘先輩との勉強会当日。
13時に直接家に来る約束で、それまでに一通り家事を済ませようと準備中。
家に誰かが遊びに来たことあるのって、考えたら英美里ちゃんと紗英ちゃんしかいない。ましてや同世代の男の子で自分の彼氏だなんて。そう思うと頬が熱くなる。
とにかく恥ずかしいところを見せないようにしなきゃ、掃除の確認と他に何かやっておくことがなかったか必死に思い出す。
「あ、服!」
これで大丈夫かな、家の中だしあんまりおしゃれし過ぎるのも変だけど、ラフ過ぎるのも良くない気がして。
髪も適当にまとめただけでボサボサだから直さないといけないし、やることいっぱいだ。
来るまでに少し勉強しておきたかったんだけどな、慌てて身支度までしていたら、
「え、もうこんな時間!?」
あっという間に約束の時間に。
とりあえず近くまで来たら連絡する、って言ってたけどどうかな。スマホを開いてみるとあとちょっとで着くと一言メッセージが入っていて、目にしたすぐあとインターホンが鳴る。あ、来た。
「先輩、時間ぴったりですね…お待ちしてました~…」
再度鏡で身だしなみチェックをして玄関へ駆け寄ってドアを開けると。