恋人ごっこ幸福論
「「「ひーなちゃんやっほ~!」」」
「…ちわっす」
「えっ…」
そこには、橘先輩だけじゃなくて、何故か英美里ちゃん、紗英ちゃん、菅原先輩の姿までもがあった。
な、なんで皆が勢揃いしてるの。
この状況になっている理由が分からずまず何から聞けばいいのかと戸惑っていると、不敵な笑みを浮かべた英美里ちゃんに両肩をしっかり掴まれる。
「ひぃちゃんったらなんで私らが居るんだって思ってるでしょ~」
「そりゃ勿論だよ…!一体どうして、」
「それはあと!聞いたわよひぃちゃん、橘先輩と2人で勉強するつもりだったんでしょ?」
「そうだけど、それがどうかしたの?」
首を傾げると、英美里ちゃんからパチンとデコピンを喰らう。
「!いったい、何するの」
「こんの大バカ野郎!」
「え?」
急に怒られた意味が理解出来ないまま、彼女に引っ張られ紗英ちゃんと3人で隅に連れて来られる。周囲に聞こえないくらいの声でその続きのお説教が始まった。
「試験勉強とはいえ誰もいない家に彼氏連れ込むってどういうことか分かってんの!?」
「つ、連れ込むってそういうつもりじゃ…」
「なくても誘ってるように聞こえるよ緋那ちゃん」
紗英ちゃんも同感だと頷きながら私の言葉を遮る。
そ、そんなに怒られるほどなのかな、とそのときハッと思い出す。
もしかして約束した日に確認で2人なのか聞き返されたのってそういう風に聞こえたからだったのかな。
もしそうなのだとしたら、私凄く大胆なことを言ってしまったのでは、自分の発言を思い出すと頬が熱くなる。