恋人ごっこ幸福論
こうして、5人での勉強会が始まった訳なのですが。
「あーもう範囲広すぎ!公式全然覚えきれないんだけど!」
「やっばい…これ絶対間に合わない!」
「英美里ちゃんも菅原先輩も大変そうっすね」
「余裕の紗英ちゃんが不思議なんだって!何なの君勉強しないの?」
「さぁちゃん勉強しなくても出来る子なんですよ」
「いぇい」
「まっじかよ」
「………」
独り言大きい。というかむしろ雑談始まってる。
進んでいるのかどうかはともかく、わいわい勉強する3人が控えめに言って、うるさい、です。
本当はこんな感じじゃなかったはずなんだけどなあ。
橘先輩と2人きりの空間で甘い緊張感に包まれながら順調に進める計画が…あわよくば少しでも意識させるつもりだったのに。
煩悩に囚われすぎた私が悪いのだけれど、なんか悔しい。
「橘~出そうなとこ全部教えて」
「やだ」
「何でだよー!要点くらいいいじゃんか親友だろ!」
「授業聞いてりゃ分かんだろ。あとさっきからうるさい」
「ちぇー」
橘先輩は唯一1人で黙々と無視して試験勉強続けているけれど。
頭も良いのかなあ、菅原先輩とのやり取りをぼんやり眺めながらそんなことを考える。
こういう状況になった今、自分の勉強しながら様子を眺めるくらいしかできないから。