恋人ごっこ幸福論
「ひぃちゃ~ん私も試験の山知りたいんだけど~」
「山は分からないけど…数IIは授業で説明したとこは復習した方がいいんじゃないかな」
「え~これ全部無理よ~」
「毎日ちょっとずつ勉強したらあっという間だよ」
「それができてないから言ってんの~!」
…なんか英美里ちゃんと菅原先輩に至っては本気で困ってるから勉強会参加してる気なだけもしてきたけど。
紗英ちゃんは余裕そうにスマホゲーム始めてるからただの暇つぶしだろうな。とりあえず英美里ちゃんに授業で録ったノートを貸して自分の勉強を進めていると、いつの間にかみんなそれぞれの勉強に集中して静かになる。
シャーペンのカリカリ、という音だけの響くしんとした時間が流れていって、数時間くらいした時だった。
「だあ〜~…疲れた」
急に呻き声を上げてばたっと机に菅原先輩が突っ伏した。
それを合図に、ぷつっと集中力が切れたのか、それぞれ手を止めて伸びをしたりする。
「…今、15時過ぎだって」
「2時間弱集中してたってこと?やれば出来るわ私」
壁の時計を見上げてポツリと呟く紗英ちゃんの言葉に英美里ちゃんがドヤ顔して見せる。
「試験も出来ればいいけどね」
「それとこれは別よ」
「堂々と言うことじゃないし」
すっかり勉強モードから解放されてスマホを手にした英美里ちゃんとゲームを閉じる紗英ちゃんに、「ねえ2人とも」と菅原先輩が声をかける。