恋人ごっこ幸福論





「休憩ついでにさ、コンビニにアイス買いに行かない?頭使ったし甘い物食べたいじゃん」

「え!食べたい」

「菅原先輩奢ってくれるんすか!」

「ええ俺今月ピンチなんだけど!」

「橘先輩も休憩しませんか」

「ん、ああ」



わいわいアイスを買いに行く話をしている3人を横目に、まだ参考書に目を落としていた彼に声をかける。

丁度いいからみんなでお散歩がてら休憩したらいいよね、なんて奢るか奢らないか問題で揉めている3人を眺めていると。



「あ、緋那ちゃんは橘と留守番してなよ」

「え、みんなで行くんじゃないんですか」



思わず目を瞬かせると、菅原先輩がこそっと耳打ちしてくる。



「なんだかんだ今日はイチャつくチャンス邪魔しちゃったじゃん?俺らがコンビニ行ってる数十分だけでも2人で過ごしなよ」



さすがにそれくらいなら、ね。とウインクする菅原先輩。

気利かしてくれたんだ…。最初は少し不本意だったけれど、今の状況で時間を作ってくれたなら神様のように見えてくる。




「ありがとうございます…じゃあ、お願いします」

「いーえー!じゃ、適当に2人のも買ってくるね。いいでしょ橘?」

「別に俺はなんでもいいけど」

「オッケー!進捗期待してるぜぃ!」

「いてっ」



どうでも良さそうに返事をする橘先輩の背中を元気よく叩いてから、英美里ちゃん紗英ちゃんと3人で菅原先輩はコンビニへ出かけて行った。






< 132 / 223 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop