恋人ごっこ幸福論




***





「ただいまー!…ってあれ、もう勉強してんの」

「あ、菅原先輩。英美里ちゃん、紗英ちゃんもお帰りなさい」



それから、10分後くらいに3人がアイスを買って帰ってきた。帰って来るなりノートに向かう私たちを見てギョッとした表情をする。



「さっき再開したとこなんです。結構時間かかってるみたいだったから」

「真面目だねえ、せっかくだから仲良くしてればいいのに」

「は?」



…実は、さっき帰ってくる声がしたから慌てて勉強してるふりしてたなんて言えない。


なんでもない振りをしてるけど、急に我に返ったからまだ心臓がバクバクいってる。橘先輩は目の前でなんでもなさそうに菅原先輩と言い合いをしているけれど。



「で、緋那ちゃん実際のとこどうだったの?」

「ど、どうだったって…」

「どうせまたからかわれてたんでしょ~ひぃちゃんのことだし」

「まあそんなとこかな…」



今日はそれだけじゃないけどね、でも今日の話はまた今度にしよう。

曖昧に返事すると、なーんだと呟きながら肩を落とす紗英ちゃん。英美里ちゃんは変なことされてないよりましだ、と突っ込んでいる。







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