恋人ごっこ幸福論
『さっき神山が俺にもっと意識してほしいって言ったじゃん?だからデートで沢山ドキドキさせてもらおうと思ったんだけど』
…とはいえ、ただデートしてれば良い訳でもないけれど。
勝負のアプローチをしなければいけないことは分かってる。大変なのも分かってるけど、やっぱりデートはデート。
それでも楽しみで、ふわふわした気分で、なんだか嬉しくて。生きてて良かった、なんて今までほとんど思ったことないようなことばかり考えてしまう。
こんなに浮かれてる場合じゃないのにな。せっかく手に入れたこのチャンス、絶対に生かさないといけない重要なデートになりそうなのに。いつかは彼だって私に答えを出してくるし、私に悠長になってる時間なんてないのだから。
とにかく、まずは橘先輩に楽しいと思ってもらえるようなデートにしなきゃ。
今はとりあえずテストに向き合うしかないけど、テスト終わったらしっかり計画立ててデートで必ず進展するんだ。
「よし、洗濯入れて夕飯の準備終わったらまた勉強するぞ!」
そのためにもまずは、テストで良い結果を残す!1人で気合を入れると早速ベランダの洗濯物を取り込みに向かった。