恋人ごっこ幸福論
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デートの約束の効果は思っていたよりも高かったのか、その後のテスト勉強は今までの中で1番捗った。
実際最後のテストを終えた後、自分でも怖くなってくるくらいかなり手応えを感じたから効果も恐ろしいくらいあったんだと思う。
私って、ご褒美があればかなり出来る子なのかもしれない。まさか今更期末テストでこんなことに気付くなんて。
軽快に人通りの少ない廊下をスキップで駆けていく。テストが終わったら、デート。ご機嫌でふわふわした心地のまま、視聴覚室の扉を勢いよく開けた。
「テストも終わった、ということでデートしようって言ってた件どうしますか!」
久しぶりとなる視聴覚室でのランチタイム、先に来て座っていた橘先輩に意気揚々と問いかける。
視聴覚室に入って来たと同時に尋ねたからなのか、呆気に取られて瞬きする彼は私の問いかけに数秒遅れてから反応する。
「…今日テンション高けーな」
「デートの約束、楽しみにしてたので」
「そっか、こりゃ俺ももっと楽しみだわ」
今日も余裕気に彼が言う“楽しみ”は、私のアプローチ方法のことだろう。少しは意識してもらえるようになったんだ、今回は必ず純粋に楽しかったと思わせてみせる。
こっちはテスト終了のチャイムが鳴った瞬間から最高のデートにする計画を立てることしか考えてないくらい、やる気充分なのだから。
いつも座っている席に座ると、早速橘先輩は菓子パンの袋を開ける。私もお弁当箱を開けながら、待ちきれずに計画の続きの話を再開する。
「それで橘先輩。デートでどこか行きたいところはありますか?遊園地とか映画とか!」
「行きたいところ?そうだな、神山の理想のデートコースとかあるなら、それに合わせて行くのがいいかなと思ってたけど。デート初めてだろ」
「確かに初めてですけど…」
それって初デートだから、私の理想的なデートにしようってこと?さらっと当然のように言われるとついまたキュンとしてしまう。
今日も相変わらず私を喜ばせる天才だな、この人。でも今回は優しいことを言われてただ浮かれてるだけでは終わらせられない。