恋人ごっこ幸福論
「気にしてるかもしれねえから言うけど、水族館充分楽しみだからな。神山が照れながら何してくんのかが見どころだし、場所は俺もお前と一緒ならどこでもいいから」
「え、それって…私と出かけるのが楽しみって言ってるように聞こえてしまうのですが、」
フォローのつもりで言ってくれたんだろうけど、めちゃくちゃときめいてしまうこと言われてる気がする。
まさかと思いつつ確認してみると、彼は目を少しだけ瞬かせて。
「…別に深い意味がある訳じゃねえんだけど」
「それって深い意味ではないけどそう思ってくれてるってことでいいんですか?」
「あーはいはい、そういうことでいいよ!好きなように解釈しろっての」
「…じゃあそうします」
恋愛感情があるとかそこまで彼の気持ちが動いてるわけではないだろうけど、確実に進展してる。自分で思っていたよりも期待してくれているのかもしれないという事実に、やる気と少しプレッシャーが湧いてくる。
「ま、とにかく俺は無理してないし水族館でOKだから日曜はそれでいこう」
「はい!頑張ります!」
よし、不安もちょっとあるけど、当日は上手くやってみせよう。
デートの計画では私を優先してくれた彼を、ちょっとでもドキドキさせてみせるんだ。