恋人ごっこ幸福論




***





「めちゃくちゃ美味しい…!」

「!初めて食ったけどこういうお洒落な飯って美味いな」

「ね、どのおかず?も家では作らないようなのばっかりだし、ずっと食べてられそう~」



席に着いた後、かなり迷った結果注文したのはキッシュプレートランチ。

数十分後運ばれてきた実物は、写真でも美味しそうだと思ってたけど想像以上の美味しさだ。



「橘先輩は、日替わりランチプレートですよね」

「うん、メインのチキンが1番旨い」

「そっか~…」



橘先輩も満足だったようで、目の前でチキンを美味しそうにもぐもぐしている。

私の要望を聞いてくれたけど、本人も満足そうだし本当に来てみたかったのかな。それなら良かった。

…さて、早速アプローチ作戦実行だ。



「せ、せ~んぱい」

「ん?」

「良かったら、キッシュ少し食べませんか~?」



一口分取ると、なるべく自然にそう提案してみる。

この前の記憶が正しければ、あーんするのは意外と悪くないって言っていた。


私の思い違いでなければ、あの時ちょっとは意識してくれたんじゃないかと思う。

だから一度効いたものは二度効くと信じて、やってみたのだ。


この前もしたのにまた緊張しているのか、頭の中では恥ずかしさと期待が入り交じって忙しなく色んな考えでぐるぐるしている。



「…神山ってシェアすんの好きだよな」

「そ、そうかもしれないですね~…あはは」

「ったく、貰えばいいんだろ」

「え、」


そんなあっさりと、この前の反応からして少し躊躇するかと思っていたのに。

思わずこっちが動揺してしまうと、一瞬の隙に右手のフォークが何故か彼に奪われて。







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